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君と再会した日では、星や宇宙が重要な要素になっています。

私はこの作品を通して、人間は星に例えられると感じました。

 

星には寿命があり、光の強さ、大きさ、位置、他の星との関係、星座など

 

様々な個性を持っています。

 

全く同じ星はないと思います。

 

まさに、全く同じ人間がいないのと同じだと思います。

 

土井のように、華やかな星もいる。

 

日野村や宮田のように、地味な星もいる。

 

ですが、どの星にもその星だけが持つ、個性があるのです。

 

 

 

 

 

では、少し考察してみます。

宮田「星は全部、私達が絶対に行くことのできない場所に
   あるんだよ」
  
宮田「確かにそこにあるのに、手は届かない……。
   そう思うと、なんだか切ない気持ちにならない?」

 

というセリフがありましたね。

 

宮田から日野村への気持ちのことだと思います。

 

この気持ちが恋愛なのか友情・友愛なのか、おそらく宮田自身も

 

わかっていません。

ですが、日野村が確かにそこにいるのに、

 

気持ちを上手く伝えることができないのです。

 

他にも、中学進学と同時に離れ離れになってしまうから、

 

これ以上仲良くなって、別れが辛くなるのを恐れて、

 

自分の素直な気持ちを伝えるのを遠慮していたかもしれません。

 

目の前にいるのに、気持ちを伝えられない辛さや悲しさを

 

表したセリフかもしれません。

 

 

 

 

宮田も日野村も人付き合いが苦手です。

学校という狭い空間では、人間関係を構築する力や

 

コミュニケーション能力が重要になってきます。

そして、その力がなければ、輝くことができず多くの

 

生徒の中に埋もれてしまいます。

そんな彼らが、自分の個性という光を放つ星に憧れを抱くのは、

 

想像できるでしょう。

宇宙は星の放つ光がなければ暗く、広さは現代の人間の

 

力でも計り知れません。

そんな空間で、寂しさを埋めるために人は他人を求めます。

他人を求めるなら、人は自分のことだけ考えていてはいけないのです。

日野村は自分のことだけを考えた結果、自殺しそうになりました。

ちょっと話がそれます。


自殺を考えている人の脳では、特にセロトニンという伝達物質が

少なくなっている

その結果、自殺者に認知障害が起こっている

この認知障害が起こっていると、脳は常に

「否定的な答え」「悪いほうの答え」を

導いてしまいます

自殺は単一の原因では起きない


(「自殺という病」より引用しました)


日野村は親の介護や仕事が上手くいかないという、

いくつもの苦難を背負っています。

未来に希望が持てないのです。

そんな彼が、人生で一番大切な思い出である宮田を失ったら、

自殺を考えるでしょう。

しかし、人は生きないといけないのです。

なぜなら、自分が関わった人がいるから。

人は生まれた時点で誰かしらと関わっています。

そして、誰でも他人を求めます。

他人を求めるなら、自分のことだけを考えて自殺してはいけないのです。

一人自殺することで、精神的に深刻な影響を受ける人が、

 

最低でも5人はいる。

というデータもあります。

(同じく「自殺という病」より引用しました)


人々は太古の昔より、星々に思いをはせて来ました。

それは、現代でも変わりません。

人が人と関わることを続けてきたのと同じように。

よく、子供に対して死んだ人を、星になったと言いますね。

まさに、この作品のことだと思います。

死んでも人は輝き続けるのです。

それは、心の中という決して届かない場所です。

それでも、長い間輝き続けます。

時々、夜空を見上げて星空の綺麗さに感動します。

それと同じで、たまには星になった人を思い出してください。

星の輝きと同じで、その人の輝いた証を思い出してあげてください。

日野村はこの先、星空を見上げるたびに宮田を思い出すでしょう。

そうして思い出してあげることが、一つの弔いになると思います。

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