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妹のコミュ力が皆無な件。は、兄妹愛と妹の成長を描いた作品です。

 

引きこもり状態で、コミュニケーション能力に乏しく、兄(明人)に頼りきりの妹(こもり)が

友達を作るまでのお話です。

二人は両親の離婚という辛い経験をしています。

幼い二人にとって、とてもショックな出来事だったと思います。

明人は親に頼れないことから、兄としての自覚を持っていますが、

 

END2では強すぎる兄としての意識が裏目に出てしまいます。

また、こもりと明人の家庭について考えてみます。

この家庭に、男性は明人しかいません。

そのことが、明人をより強い兄としての自覚を持たせたのでしょう。

妹という存在は、兄から見れば弱々しく感じてしまうものです。

なぜかといえば、一つはもちろん年下であるから。

そして、もう一つは女性であるから。

最近は変わりつつありますが、社会では男性の方が女性より強いです。

創作の世界でも、女性は男性に守られることが多いです。

兄は女性であり、なおかつ年下の妹という存在を守らなければいけないと、

無意識のうちに刷り込まれているのです。

ですが、この作品はそんな弱い妹からの脱却を目指しました。

巨悪に打ち勝ったわけではありません。

人と話し、友達を作るという誰にでもできるようなことです。

ですが、こもりにとって大きな前進だったのです。

それに、友達を作ったということだけではありません。

兄への依存をやめることができたのです。

守られるだけの存在から、抜け出すことができたのです。

こもりは新しい友達からの優子への誤解を解くために、必死に話しました。

どれほど勇気を振り絞ったのでしょう。

優子は悪口を言われ、攻撃されていました。

こもりはそれを庇ったのです。

すなわち、今まで守られるだけだったこもりが、

 

友達を守ることができたのです。

こもりという名前は、ひきこもりのこもりから来ているように思えますが、

子守とも書けます。

守ると言う字は、こもりやこの作品を象徴しているのではないのでしょうか。

甘やかすことと、背中を押してあげることは違う。

こもりだけでなく、明人もこもりの成長を通して学んだのではないでしょうか。​

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